人間は何を求める、欲望の全てを望み貪欲にもそれ以上を求める。

安全が欲しい、しかし刺激も欲しい・・・そんな矛盾した欲望さえも自分勝手に解釈するのだ。

昔から少し冷めていた、人の顔色を伺って表情を操作する自分がいた、それに気付いても笑顔でいた。

心の底にある事も上手くつじつまを合わせてきた、故に本当の自分を出せなくなった。

人前ではどう見られているのか分からない、嘘で塗り固められた私を見て何を思い感じるのだろう。

その印象とは多分かけ離れた所に私は立っている、暗く深く目を凝らしても見えない部分に。

変わろうと思うか?変化する事で自分が無くなるのではないかと懸念する、自分が無い自分にだ。

失うことが怖いから・・・良く逃げていた、顔を背けるのだ。本当は求めたいのに、奪われるのが怖いから。

何もいらないから何も奪うな、下らない言い訳をよくした。何もいらない訳がない、求められない訳がない。

それ以上に失う事が怖いのだ、こんなに苦しい想いをするのならそんな物は必要ないのだと拒絶する。

とんだ臆病者である、負ける事が怖いから走り出さない尻尾を巻いて逃げ出した負け犬である。

私の求めるものは何なのだろう、私の望みは何なのだろう・・・あるはずなのに思い出せない。

お前はそんな所から分からないのか?渇望も無いなら死ねばいい。鏡に映る冴えない男がそう漏らす。

求めればいい、失えばいい、失ったらまた求めれば良い・・・そんな簡単な事だろう?

心を殺してきた私には簡単ではないのだ、私が求めなければならないものはその気概なのかもしれない。